にほんオオカミが去る
10年くらい前、渋谷のユーロスペースに
キアロスタミの「桜桃の味」を観にいった。

観おわってロビーで
黒い外套に黒い帽子を深々とかぶった
やけにガタイのいい初老の男性と目があった
すっとのびたというよりも・・
静かなオオカミのような眼差しだった。

わたしは彼と知り合いではないが、
引き寄せられるように
2歩ほど歩み寄って深々と礼をしたのを覚えている。
(どうしてかは本人も?)

顔を上げたわたしに
彼は微笑みながら「いい映画だった」
わたしはうなずきながら「はい」と。


緒形拳だった。

オオカミは去っても あの静かな光はわたしの中の記憶。


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